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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


「あった」



足音を忍ばせてベッドへ近づき、ブランケットを抱える。

すぐに戻ろうとした、その時。
ベッド脇のサイドテーブルに置かれた一冊の本が目に入った。



見覚えのある表紙。
というより、見間違えるはずがない。





これは――あの時、伏黒くんに借りようとした本。






「…………なんで、ここにあるの」



本を手に取って、表紙を見つめる。


確か……伏黒くんの部屋に入る時、廊下に落とした。
そこまでは覚えてる。

でも、その後は?


帰る時、私、本のことなんて完全に忘れてた。

廊下にまだ落ちてた?
それとも、もうなかった?

わからない。


あの時は恥ずかしくて。
とにかく早く部屋から出たくて。

足元なんて、全然見てなかった。

だけど、この本が先生の部屋にあるってことは。


もし、あの時先生が拾ったんだとしたら――。


ううん。
たまたま同じ本を持ってるだけかもしれない。

そうだよ。
先生もこの本を読んでいたのかもしれない。


同じ本があるっていうだけで、先生があそこにいたとは限らない。

……だけど、こんな偶然あるの?






「?」

「……っ!」



突然名前を呼ばれて、咄嗟に本をブランケットの間に隠す。
振り返ると、寝室の入り口に先生が立っていた。



「せ、先生。起きたんですか?」

「んー。なんか気持ちよくて、うとうとしちゃった」



先生はまだ少し眠そうに、アイマスクの上から目元を擦っている。



「ごめんなさい。寝室、勝手に入っちゃって」

「別にいいけど」

「先生に何か掛けようと思って……ブランケット、探してて」



伏黒くんと私が何をしていたのか、先生は知っているのかもしれない。
そう思ったら、先生と目が合わせられなくて。
ブランケットの中に隠した本を、ぎゅっと握り直した。
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