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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


私は顔を動かさないようにして、視線だけで部屋の中を見渡した。


テーブルの上にも、棚にも。
女性ものは見当たらない。

さっき使った洗面所にも、先生以外の歯ブラシや女の人が使いそうなものは置いてなかった。


先生に女の人がいることは知ってるけど。
少なくとも、頻繁にここへ来るような決まった人はいないのかもしれない。

特別な誰かがいるわけじゃないのかな。






よかった…………って。
何、ホッとしてるの。


先生に特定の彼女がいないからって、私にチャンスがあるわけじゃないのに。





「……なに?」



不意に声をかけられて、顔を上げた。
いつの間にか、先生がスマホを置いてこっちを見ている。



「さっきから何見てんの? なんか珍しいものでもあった?」

「い、いえ! なんでもないです!」



絶対言えない。
女の人の物がないか見てました、なんて。

めんどくさいって思われたくない。
他の女の人のことは聞かないもん。


先生は立ち上がると、キッチンのほうへ歩いていった。
冷蔵庫を開ける音がして、すぐに戻ってくる。



「ほら。水でいい?」



差し出されたのは、冷えたペットボトルの水だった。



「あ、ありがとうございます」



さっきまで座っていた場所に戻るのかと思ったら、先生は私がわざわざ空けたスペースを埋めるように、すぐ隣に腰を下ろした。
ソファが沈んで、肩が触れそうなくらい距離が近くなる。


近すぎるのですが!?
せっかく距離取ってた意味、全然ないんだけど。


少しでも先生から離れようと端へ寄るが、その分だけ先生もこっちへ距離を詰めてきた。


(…………え?)


ちょっと待って。
近い近い近い。


さらに身体を引いたのに、先生の顔はどんどん近づいてくる。


え?
え?

またキスされる?
首、吸われちゃう?

それとも、またえっちなことされちゃうの!?


持っていたペットボトルごと、先生の胸を押し返す。



「せ、先生、ちょ、ちょっと待って……! 心の準備が──!」



先生は私の髪を一房すくうと、鼻先へ近づけた。



「、僕と同じ匂いする」

「…………へ?」

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