「理想のイケメン」募集に、煙を纏う同期が立候補してきた。
第3章 そうだドバイ、行こう。
「はい、返品。
命の値段、150円のチョコクロワッサンじゃ到底足りないんで」
「えーっ! 返品不可ですよそれ!
じゃあ、今すぐ婚姻届にサインして、俺の生命保険の受取人をアズサさんに変更しますから」
「はいはい、そっちの妄想はドバイの石油王に負けないくらい非現実的だから。
さっさと煙草吸って仕事戻ってねー」
私は完璧なすまし顔で、チョコクロワッサンを一口かじった。
美味しい。
「あ、またそうやって流すんだ……!
せっかく俺、本気で遺言書書く準備してたのに!」
結城くんがわざとらしく肩を落としてブツブツ言っているのを背に、私はベンチに再び寝転がった。
「喪主」だの「受取人」だの、冗談のトーンで私の人生の最後の最後まで入り込もうとしてくる結城くんは、やっぱり、ただの馬鹿ではないのかもしれない。
……まあ、そんなこと口が裂けても言ってあげないけど。
-end-