「理想のイケメン」募集に、煙を纏う同期が立候補してきた。
第3章 そうだドバイ、行こう。
「どうです? 俺、今日もめちゃくちゃ優しくないですか?」
「……うん、まあ。で、いくら?
今日はさすがにツケ払いとか言わないよね?」
お墓に永代供養されるツケは、もうお腹いっぱいだ。
だが、結城くんは私の予想の上をいく笑顔で、とんでもないことを言い出した。
「あ、今日のツケはですね……
俺が死んだ時のお葬式、アズサさんが『喪主』をやってくれる権利で」
「重っ!!!!」
思わずベンチからガバッと起き上がった。
この間より、さらに重荷が増えている。
「いやいや! 怖いわ!
なんで私が喪主やらなきゃいけないのよ。ご家族に譲りなさいよ!」
「えー、だって墓場まで追いかけるって言ったじゃないですか。
どうせなら、俺が墓に入る時のプロデュースもアズサさんにやってほしいなーって」
「だいたいプロデュースって何?
祭壇にタバコでも飾れって言うの?」
「あ、それいいですね! ぜひお願いします。
その時は隣にアズサさんのタバコも置いてくださいね。
で、喪主やってくれたら、俺の全財産をアズサさんに遺贈しますんで。
超優しくないですか?」
ニコニコと笑いながら、彼はこれ以上ないほど不吉で甘い条件を提示してくる。
アズサを流す達人である私も、さすがに一瞬フリーズした。
が、すぐに真顔に戻り、手元のチョコクロワッサンを彼に突き返す。