• テキストサイズ

PRISM LINE【ワールドトリガー】

第4章 感情線の混線



心に描いたバカ正直な本音を、なんでもずけずけと口にするつもりはないけど、雰囲気までは隠せなかったのか、相手の舌を打つ音がいやに大きく鼓膜に反響する。ていうか、向こうで誰かが話してる声のほうがよっぽどうるさいのに、なに言ってんだ。

そもそもあたし1人でいるのにぶつぶつ言ってたら怖いでしょ。


「………」
「………」
「……チッ。クソが」


いつもなら。そう、いつもならね、堪えてたよ。
不躾な視線を投げて、それが癇に障ったのならあたしが悪いんだし。でもさ、時と場合が良からぬ方向に噛み合うこともあるんだよ。

たまたま疲労のピークでたまたま正常な判断ができないくらい感情に飲まれてて。そんな時にたまたま人相の悪いこの男が絡んできた。
頭の中でぷつって音がして、次の瞬間には怒気を含む言葉が唇を震わせてた。


「アンタさ、何わけわかんないこと言ってんの?うるさいだのなんだの変な言いがかりつけて勝手に怒鳴らないでくれる?なに、むしゃくしゃして八つ当たり?は、馬鹿じゃないの?言っとくけど、アンタのその声のほうがよっぽどうるさいからね?」


我ながらよくもまぁ、息継ぎもせずにここまでネチネチと言えたもんだなと思う。一気に捲し立てたせいで呼吸が荒くなったけど、そんなもの今はどうでもいい。

1ミリも逸らさず相手を見つめて、黙ってないで反応しろよと目だけで訴えてみれば、無表情で聞いていた男の口角がみるみる上がって好戦的な笑みに変わった。


「へぇ。俺にそこまでボロクソ言うヤツ、久々見たわ」


有無も言わさぬ気迫で、ただでさえ近い距離をさらに詰めた目の前の男は、ソファーの背もたれに両手をついた。あろうことか、間にあたしを挟む形で。


「ちょ、っと!近い!」
「気の強ェ女は嫌いじゃないぜ?」
「だから近いって!もうちょっと離れて!」
「それに良く見りゃ全く知らねぇ顔だな。お前新入りか?」
「だったらなに」


鼻先1メートルもない。
目一杯ふんぞり返った所で背もたれに阻まれた体は、相手を押し返してやりたい衝動に駆られてぐっと手のひらに力を込めた。迂闊に触れない歯がゆさで、自分の顔がじわじわと歪んでくのが分かる。


/ 113ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp