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〈短編〉ブルロ 糸師凛

第9章 再会/シリアス ※糸師冴


「……聞いていい?」
「なんだ」
「ずっと、気になってたんだけど」
「……」
「いつも、何をベースに話してるの?」
「見えるもん全部」
「…………」


嘘ではないし、むしろ真実。それはわかる。
だからこそ規模が大きすぎて処理が追いつかないのだ。

冴には相手に丁寧に中身を説明するという価値観がないから、知りたいならば繭から追いつき理解するしか術がないということになる。


「……質問変える。どうすればそういう風になれるの?」
「無理だな」
「なんで?」
「見るもんが違う」
「何が見えてるの?」


普通の人間には見えない、見ようとはしない何かが冴には見えている。
だから、ふとした瞬間に何とも言えない違和感みたいなものが見え隠れする、これは確かだ。
繭が知りたいのはその先、その奥だ。


「その質問してる時点で違うだろ」
「…………確かに」


繭としては、完全な引導を渡された気分になる。




他者に対する強い口調での断定は凛もよく使う。
そういう意味では、この兄弟は顔つきだけでなく話し方の雰囲気も似ている。内側には常人と並外れた何かを持っている、ここも共通しているだろう。

ただ、その中身がまるで違っている。


自分の描く基準に向けて内なる駆動を押し出すような、凛の視点は理屈では理解は出来る。逐一、重みがあり鋭さが乗るのも頷ける。
節々に強制力みたいな意図が乗るのはそのせいだと思う。

しかし、冴が出すのはそれとは違う。
重さはないしどちらかというとむしろ軽い。別の言葉で言うなら、無駄が削がれた、洗練された、こんな表現が近い。
なのに、刺すべくして狂いなく急所打ちをする、こんな感じだ。


状況を見て、どうしようだとか。
自分はこうしたいからこうするだとか。
こう突けば、相手がこうするだろうとか。

そういう次元を超えた何かがはまらないと、繭には理解に落とせないままだった。



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