第7章 交渉/ほのぼの?極微糖
この状況を相手の教え方がどうこうと人のせいにすることも出来るのだが、無理矢理の感情論で考えていても問題は解決しない。
繭の今のレベルと凛が想定するレベルが噛み合っていないし、繭の求めるものと凛が提供を許可出来るものも噛み合っていない。
このあたりのすり合わせをしていなかったのは痛恨のミスだが、今更そこからやり直しでは虫が良すぎてさすがに通らない可能性が高い。
繭が思いつく範囲で、取れる解決策はひとつだ。
無駄を嫌う凛への、この場の意義付けの再定義。
そして、それを得るために必要なことは3つある。
この場に留めること、方向性を具体的にすること、両者に対するイエスを取ること。
ここまでは頭でわかっていても、どうするのが正解なのかの答えは取り残されている。澄んだ頭で考えるほど余力が残っていないせいだ。
「…………」
繭は少し視線を上げる。
凛は片腕をテーブルに残し、完全無視を決め込んだままでいる。
控えめに伸ばした人差し指の爪先で、凛の服の袖部分をピンを落とすみたいにテーブルに固定だけする。
「触んな」
「困る」
「……は?」
「いなくならないで」
「知らねぇよ」
「一人じゃ終わらない」
「お前の問題だろ」
「……58ページだけ助けて」
これで無理なら人を当てにするのをやめて、次なる方法を考えてゆくしかない。