第7章 交渉/ほのぼの?極微糖
勉強を教えてもらう話
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繭としては何となくの嫌な予感はあったが、いよいよ本格的にマズいことになった。
お世辞にも成績が良い方ではないが、かと言って救いようのないほど絶望的な訳でもない。
唯一、英語を除いては。
補習からの再テスト、ここで合格点をクリア出来ないとスマホを没収される可能性が出てくる。よって、何とか凛に頼み込みアポイントの獲得にまでは至れた。
繭の部屋の丸テーブルの上には教科書やノート、補習時のプリント、英語テストが散乱している。
そして今はレ点だらけの答案による恥さらしの真っ最中な訳だ。
「…………は?」
軽蔑するとか、断罪するとか、そういうことではなく完全なる理解不能。
凛はそんな雰囲気をありありと出している。
「何だこれ」
「テストです……」
「見りゃわかる」
はじまるのは結果への批評ではなく、こうなった原因の解明のようだ。凛は指先で答案の上の方を雑に叩いた。
「ここ、読めば取れるだろ。基礎の基礎だ」
「所々読めなくて……」
「質問文の方だ」
「それは読んだんだけど……」
「じゃあなんでこうなる」
「単語とか、文法?意味?を理解出来てないから……」
「わかってんなら潰せ」
「そうなんですけど……」
繭は謎に敬語混じりになり苦笑いになるが、当然、そこに配慮も何もあったものではない。
「授業聞いてねぇのか」
「聞いてるよ……BGMみたいな感じで……」
「聞いてねぇじゃねえか」
「……歴史は得意」
「英語の話だ」
「……そうですね」
繭は教科書を引き寄せ、それをぱらぱらめくりながら言った。
「範囲はここからここまで。あとこのプリント。で、58ページは勝確で出ると思うんだ。先生の微妙な言い回しと含みはそういう意味と見てる!」
「変なとこに意識回してるから頭入んねぇんだろ」
「……でも大事だよ!?無駄ではない」
「逃げてんじゃねぇ」
「……」
有無を言わせぬ凛の圧が増えてきたので、とりあえず、シャーペンを出す。
そして、課題プリントを引き寄せ必死に答えを書いてみる。
いかにも自信のないへろへろした英字が、少しづつだけ繭の手元に増えていった。