第6章 感情的な理屈/日常微ギャグ
自分のことを話されているのだから普通ならば“気になる”話題であるはずなのに、凛は態度を変えず我関せずのままだ。
だからある意味、外側からは話しやすくもある。七星もそれはわかっているようで、自分の中から答えを探し出している。
「凛さんが一番信頼出来るからだっぺ!」
「……」
目をキラキラさせて話す七星の答えは、想像以上に的を得た内容だった。
やみくもにすごいだとかカッコイイだとか言うよりも、信頼というものは派手さはないが深い所に刺さっているとは思う。
「……そっかあ」
「変だべか?」
「ううん。わかる気はする。絶対的とまでは言えないけど、信頼は価値の一つってコトだし」
「ん、まあ、そうだっぺな」
「その価値が100-0というか、一部だけ極端に重いというか。でも、基準としてはシンプルだとは思う」
「ちょっとわかるようで何言ってんのかわかりづらい!」
“目的を描く中で、それを遂行するために一番重みをおける価値は何か。”
七星が見ているのは、そういうことなのだろう。
状況は、七星が出した理由を繭が肯定した形だ。
普通であれば嬉しいことを言われているはずなのに、凛はまるで無関心のままだった。
繭は両手で頬杖をつく。そして、しばらく一人の世界にこもったままの凛を勝手に会話に引き込んでみる。
「ねえ」
「……」
「褒められてるのに」
「……」
「照れたりしないの?」
「……は?」
わずかに遅れて返ってくる声は微かに低い。
にわかにだけ視線を向けられる。
「……お前、調子乗んな」
この反応ではどう見ても照れ隠しではないのはわかる。
的外れ甚だしい返答はよくわからないままズレている。
繭にすれば今は理論整然と話をする場ではないだけで調子に乗っている気はさらさらないし、そう見えるかもしれないというだけの話である。
とはいえ、さすがに黙って飲み込むには腑に落とせないものもある。繭は目を細め、声色を下げて言った。