第6章 感情的な理屈/日常微ギャグ
「ありがとう」
「いや、なんか見えたから。困ってんかなって」
「絶妙のタイミングだった」
「もしも!相手が逆上してきたらボスを呼ぶしかないとは思ったけど!」
「ああいうのって最短労力で引っかけたいだけだし多分平気だよ」
「……えらい冷静だっぺな」
結局、コーラのグラスを二つ持ってくれる七星はその一つを凛の前に置く。
繭がアイスティと共に席に着くと、早速切り込みの声に殴られる事になる。
「……遅ぇ」
その指摘は事実ではある。とはいえ、微かに思うこともある。多分、今日は真逆と言える“比較対象”がいるからだ。
「飲み物も取ってこれねえのか」
「今のはイレギュラーでしょ」
「対処出来ねぇのかって言ってんだ」
「出来なくない。出来るよ」
「やってから言え」
「……やろうと思えば」
「一番ダセぇ」
「……」
言うだけ言ったら凛はあっという間にコーラとスマホだ。
正論で退路を塞がれるとぐうの音も出ない。繭にはほんのり眉を歪める負け惜しみをするしかなかった。
横で空気を読むのは七星だ。
「キッツ……凛さーん、さすがにああいう時は助けるとか、フォローした方が良くない!?」
「知るか。くだらねぇ」
「繭、な、泣いたりしない……!?」
「まさか。しないよ。気持ちの上で3mm引いただけ」
「意外と少ないべ……」
「じゃあ30cm」
「繭も結構適当だべな」
ムキになったとて一人相撲なのだから、それくらいでちょうど良いだけだ。
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注文した品も届き会話を続ける最中、そういえば、と繭は違う話題を七星に持ち出してみる。
「さっき弟子入りしたって言ってたよね?」
「そうだっぺ」
「どうして?」
「どうって?」
「だって。技術も話術も人間性とか、もっとちゃんとバランス取れた人は他にいそうなのに」
「キッパリ言うなぁ……」
「でもそうじゃない?決め手は何だったんだろうって」
「んー……」