第6章 感情的な理屈/日常微ギャグ
こういう時、凛は納得しないとてこでも動かないし面倒になった繭が折れることは多い。稀に論破が叶うと勝てる時もあるくらいだ。
流れを自然に動かす力みたいなものが、凛にも繭にもないけれど、七星にはあるということだ。
繭は少し身を乗り出し、声を高くした。
「じゃあ、出さなきゃ負けよーで行こう!」
「了解だっぺ」
「ジャンケンポイ!」
「……」
「繭の負けだっぺ」
「コーラ。さっさと行け」
繭としては何だかツキに見放された気分にはなる。
繭は仕方なく席を立った。既に、片手で頬杖をつき目も合わせない凛はスマホいじりだ。
七星は横から、繭を見上げる。
「手伝う?」
「3つなら持てる、トレーもあるし。何にする?」
「んじゃ、俺もコーラで」
「はーい」
平和的解決の結果だ。
繭はドリンクバーに向かった。
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ドリンクバーにいると、横から知らない声がかかった。
「ねえ一人?」
「相席しない?」
少し上くらいの知らない男子がいる。これは「いかにも」なやつだ。
繭は淡々と答えを出した。
「今日は無理です」
「今日は??じゃあ今度でもいいよ♪LINE教えて」
「あー今スマホ持ってないので」
「席にあるカンジ?待ってる待ってる、教えてよ」
「……」
真面目に答えていては拉致が空かなそうだ。
最短で、穏便に、この場を収める言葉は何だろうか。
頭を回し始めた時に、横から七星の声が入ってくる。
「繭、だ、大丈夫?」
「……今、大丈夫になった」
「ちっ、オトコ付かよ」
「行こうぜ」
2人組が去ってから繭は七星に顔を向けた。お世辞はなしに優しさの権化、そんな風に見えてくる。