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〈短編〉ブルロ 糸師凛

第6章 感情的な理屈/日常微ギャグ


「凛さんはサッカーの師匠だから!自分、弟子入りさせてもらったんス!」
「……ぇ……」


繭は思い切り驚きの顔をした。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔、もとい、食事の中に髪の毛が混入していたような顔、そのまま凛に視線を滑らせた。


「…………」
「見てんじゃねぇ」
「いや……人の心とか、ある感じの概念が存在していたことに驚いている」
「使えるうちはモノとして使ってるだけだ」
「どっちみち救われているんス!だから、そんな凛さんの知り合いだと思うと呼び捨てはどうも……」


眉を下げ頭を掻く七星を見ていると、状況が何となく見えてきた。

七星にとっては弟子入り、凛にとっては利用価値、はたから見れば「ヨロシクやってんならソレ別にどっちでもよくね?」の形を取っているだけだ。
繭は髪を耳にかけながら、首をかしげて見せる。


「そっか。弟子入りかぁ」
「そ、そう」
「じゃあ師匠の同郷の人ってことで」
「う、うん」
「私のコトは姐さん(あねさん)て呼ぶ?」
「馬鹿か」

「……勝手にしろって言ったクセに」
「お前に言ってねぇ」


盛り上がるに摘み取られる、そんな印象だ。



===



あれから、時間もあるしと近くのファミレスに場所を移すことになった。

ファミレスのボックス席に通され、凛は先に一人で片側に座り込む。後に続く七星がその向かいに座った。

この場合、どちらに座るべきかを繭は一瞬考えた。
ここでは一応七星がゲストだ。
繭は一歩、凛の側に足を進めた。


「こっち来んな」
「え?でも」
「あっち行け」
「……」
「あ、どうぞ!是非!」


七星の方が空気を読んで奥に詰めて、荷物までまとめてくれている。繭はその腰掛けた。
凛はともかく七星だって小柄とは言い難いので、詰めてくれてはいても距離はまあまあ近かった。


繭が追い払われたのは多分物理的な理由だ。
4人掛けのボックス席の片側を占領する凛は、猫背に足組で既に注文のタブレットをいじりだしている。

仲睦まじい高校生集団というよりは、ボスと手下ABみたいになってしまったがここでは仕方がない。

七星が急にそわそわし出した。


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