第6章 感情的な理屈/日常微ギャグ
七星と凛と夢主の会話の話
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先ほど駅にて、繭は困り顔の七星虹郎という高校生男子とたまたまぶつかった。
その流れで行き先と尋ね人がいるという話を聞き、ちょうど同じ方面に向かう途中だったので向かっていた矢先のことだった。
突然、七星が繭との話を投げて一直線に走り出した。
「うわぁあああああ凛さああん」
「なんでてめえが……」
「会えなかったらどうしようかと!良かったぁあああーー!」
偶然とは起こる所には起こるものみたいだ。
いきなり凛に向かって飛び出す七星を後ろから見ながら、繭は目を丸くする。
“こんな普通の友達との一コマみたいな”
言葉にすると違和感しかないが、これは学校でも近所でもまず見られない貴重な光景だ。凛の対応はブレずに塩だがそんなもの一切お構いなしで涙目の七星の方が、ペースを掴んでいるようにも見える。
「迷ったんス!困ったんス!そしたら!親切な女子が助けてくれて!」
ここで凛の視線が上がり、繭に向いた。
「……何してんだてめぇ」
「……人助け、しかしてない」
凛の服を掴み縋る七星とそれを引き離しきれていない凛を見ていると、繭の方が一人場違いの気分にもなってくる。
繭は凛に探りを含む視線を向けた。
「……彼女?」
「ンな訳ねぇだろ」
繭とて、さすがに冗談だったが。
食い気味にそう言われた次には、七星が話しかけてくる。
「え!?繭と凛さん、知り合いなんだっぺか」
「うん。まあ、……あ、濁すのよくないね。知ってる。普通に。よく」
「よく……!?も、もしかして……っ」
「あー……」
「コレな、そういう、ヤツだっぺか!?」
小指を立てる仕草は最近は見ないヤツだが、七星の言い分は伝わった。先日も似たような展開はあったが凛と知り合いと言うだけでこのネタは時々起こる。
繭が思うに、これは見るからに懇意に見えるという意味ではなく、凛の素行と日頃の他者印象の問題な気がしている。
例えば、不良が雨に濡れる子猫を助けたら、他の人間ならそこまでもてはやされる事でもないのに不良だと謎に高評価されるアレに近い。