第5章 魅力/日常微糖
てんとう虫には必要性や存在感はない。
排除するほどの害もない。ただそこにいる時があったり、いない時もある。いても然程気にならないし、いなくても気にならない。
不規則な動線は理解不能だが、自分勝手に見え隠れしている。
ただ、それだけ。この感じだ。
繭は首をかしげて、眉間を寄せている。
「てんとう虫?……甲虫?……赤……え、可愛いってこと?」
繭は今の言葉を思考で受け取っている。
だからズレを感知している。
てんとう虫から導かれるワード、客観視点の自分、主観の自分、凛から見た自分でどう配線を組むべきか。差分を埋めようと小難しく考えている、そういう顔をしていた。
繭の感じているズレは合っている。
分類や色はさておき、てんとう虫のことも繭のことも可愛いとは一度も思ったことはない。凛にすれば虫の外面はどっちでもいいが、ひとつだけ補足を入れてみる。
「黒い方のヤツだ」
「……キモチワルイほうじゃん」
やはり何かが噛み合わないまま、いい加減この出口のない話題はおしまいでいいだけだ。
Fin