第3章 【直哉×魔性女中】
直毘人の言葉は、直哉の燻っていた執着に、これ以上ないほど甘美な火をつけた。
「……名前を、俺の妻に」
直哉の顔から、先ほどまでの刺々しい殺気が、陶酔に近い歓喜へと塗り替えられていく。
彼は足元で奥方を庇っていたを、強引に、しかし壊し物を扱うような慎重さで抱き寄せた。
「……ああ、それがええ。それが一番や。……おい、聞こえたか。お前は今日から、俺の正真正銘の妻や。……俺だけのものや」
直哉は、傷ついた彼女の腕を労わるように抱きしめ、その肩に顔を埋めた。
絶望に顔を歪める奥方の前で、直哉は子供のような笑みを浮かべる。
「……嬉しいなあ、。
やっと、お前を嫁に娶れる。誰にも文句を言わせん、あぁ…可愛い、俺の妻や。」
は、あまりの急展開に言葉を失い、ただ直哉の胸の中で呆然としていた。
女中を本妻に迎えるという、禅院家の歴史上あり得ない狂気。
それを「喜び」として享受する直哉の腕は、もう二度と彼女を離さないと言わんばかりの力で、彼女を強く、強く縛り付けていた