• テキストサイズ

【呪術】短編集【禪院直哉】

第3章 【直哉×魔性女中】



直哉は飢えた獣のようにを求めた。


「もっと、もっと強くなる……。
親父も、他の奴らも、全員黙らせたる。

禪院家を俺の思うままにしてやるから……」

直哉は彼女の白い首筋に歯を立て、必死に言葉を絞り出す。
それは次期当主としての抱負などではなく、彼女に愛されるための、たった一つの「交換条件」だった。


「だから、愛してくれ……。
俺のこと、愛しとるって言うてや。
……なぁ、…」


その悲痛なまでの執着に、彼女はそっと目を細める。
そして、熱に浮かされた彼の耳元に、とろけるように甘い声を流し込んだ。



「ええ、愛しております。直哉様……。
もう私の負けです…
あなたを立派にして差し上げたかったのに…」


「……っ、…」


「あぁ…こんなに一生懸命になられて、本当に可愛らしい……」


その言葉は、直哉の理性を完璧に破壊した。


本邸では誰よりも傲慢で、誰にも膝を折らない冷酷な男。そんな彼が、彼女の腕の中では、たった一言の「褒め言葉」に翻弄される幼子のように、その瞳をトロンと蕩けさせていく。



「……あ、あぁ……。もっと、もっと言うて……」


「はい、はい。こんな必死に腰を振られていじらしいお方…」


彼女の指先が、行為の最中に直哉の金髪を優しく梳き、耳朶を甘噛みする。
「女中」としての節度も、「天女」としての潔癖さも、今の彼女にはない。

そこにあるのは、自分に依存しきった男を、言葉と愛撫でどこまでも堕落させていく、一人の女の深い情愛だった。



「……っは、ぁ……! 、お前……、お前、最高や……」


直哉の腰の動きはさらにがむしゃらになり、彼女の言葉一つ、吐息一つに敏感に反応して、震えを繰り返す。


彼女に甘やかされ、褒められ、肯定される。その快楽は、どんな術式の極致よりも直哉を陶酔させた。


彼は彼女の胸に顔を埋め、赤子のようにその名を呼び続ける。
自分が「一人の男」として彼女を抱いているのか、それとも「坊ちゃん」として彼女に抱かれているのか。

その区別すら、もはやどうでもよかった。
「愛しとる……、愛しとる、…!」


「私もでございます。私の、直哉様……」



直哉は彼女の甘い囁きに、二度と浮き上がれないほど深い愛憎の淵へと溺れていく。
/ 109ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp