第3章 【直哉×魔性女中】
彼女は天女の如き微笑みを浮かべた。
しかし、その瞳は鏡のように冷たく、直哉の醜い執着を映し出している。
「……嫌や。そんなん、俺の知ったことか」
「…もしこれ以上、駄々をおこねになるのでしたら、私は今度こそ、貴方様の前から消えなければなりません」
「……っ!!」
脅しではない。
彼女なら、本当に霧のように消えてしまう。直哉はそれを、本能で理解していた。
は、直哉が「完璧な当主」であるための報酬として、ここに存在しているのだ。
「さあ、お顔をお上げください、直哉様。今夜も、貴方様の大好きなものを用意しております。
……それとも、今夜はもう、お帰りになりますか?」
突きつけられた選択肢。
直哉は拳を血が滲むほど握りしめ、やがて、絶望に満ちた屈服の溜息をついた。
「……食うわ。食うから、言うこと聞くから…」
「ええ、お利口ですね。」
彼女は満足そうに微笑み、再び後毛を耳にかけた。その仕草に、直哉は一生この女の掌の上で、血を流しながら踊り続ける未来を悟った。