第3章 【直哉×魔性女中】
それからの直哉は、まるで憑き物が落ちたかのような、あるいは何かに魂を売り渡したかのような変貌を遂げた。
本邸での彼は、誰よりも速く、誰よりも冷酷だった。
「弱者は死ねばええ」
その言葉通り、無能な門下生を切り捨て、術式の研鑽に一切の妥協を許さない。
その苛烈なまでの実力至上主義と、一切の迷いがない立ち振る舞いに、父・直毘人も満足げに目を細めた。
「直哉の奴、ようやく当主の器になりよったな」
酒を煽りながら笑う直毘人は、その息子の「冷徹な仮面」が、たった一人の女によって繋ぎ止められていることなど、とうに承知の上で愉しんでいた。