第3章 【直哉×魔性女中】
狂ったように情報を洗い出し、直哉がようやく辿り着いたのは、本宅から遠く離れた山間にひっそりと佇む禅院家の別邸だった。
手入れの行き届いた庭。
静寂を切り裂くように、直哉は荒々しく玄関を蹴破るようにして入り込んだ。
「……!!」
奥の離れ、静かに読書をしていた彼女が、驚くふうもなくゆっくりと顔を上げた。
西日に照らされたその姿は、本宅にいた頃よりもいっそう神々しく、そして遠い存在に見えた。
後毛を耳にかける、見慣れたあの動作。
「……直哉様。こんなところまで、お独りでいらしたのですか」
「当たり前やろ! なんで…
…なんで何も言わんと消えたんや! 親父に言われたんやろ?!
無理やり行かされたんやろ!?」
直哉は彼女の元へ駆け寄り、その場に崩れ落ちるようにして彼女の膝に縋り付いた。
かつての傲慢な嫡男の姿はどこにもない。
ただ、母親とはぐれた子供のように、彼女の着物を必死に掴み、震えている。
「戻るで、一緒に。
俺が親父に文句言うたる。俺が許す。
お前は俺のそばにおらなアカンねん……!」
直哉の熱い涙が、彼女の膝を濡らす。
だが、彼女の手が彼の髪に触れることはなかった。
彼女は膝に乗せられた直哉の両手を、まるで汚れ物でも扱うような冷ややかさではなく、しかし、決定的な距離感を持って、そっと押し返した。
「……お離しください、直哉様」
「嫌や! 離さへん! お前、俺のことわかっとる言うたやろ!
頑張っとるって、偉いって……!」
直哉が必死に彼女の顔を覗き込む。