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【呪術】短編集【禪院直哉】

第2章 【直哉×甚爾元カノ】




「禪院直哉」という名の男が、自分を狂わせるこの女に付けた、終身の鎖だ。


 力ずくでねじ伏せ、その体温を奪い、自分だけのものとして支配する。

 二十二歳の傲慢な当主候補は、の瞳に浮かぶ涙さえも、自分への服従の証として飲み込んでいった。



「……自分はな、死ぬまで俺の掌の上や。
……逃げられるなんて、夢にも思うなよ」



 脱衣所の狭い空間に、荒い吐息と、逃げ場のない情熱が渦巻いていく。
 は、背中の床の冷たさと、自分を貫こうとする直哉の暴力的なほどの熱量の中で、次第に思考を白濁させていった。


  「……っ、直哉、くん……もう、やめて……」


 震える声での懇願は、直哉の嗜虐心を煽る薪でしかなかった。
彼はの腰を砕かんばかりに掴み、逃げ場のない壁際で、容赦なくその奥深さを侵食していく。



「やめるわけないやろ。……自分、あんなオッサンの写真机に置いて、俺を煽った報いや。たっぷり可愛がったるわ」

 汗ばんだ直哉の金髪がの頬を打ち、彼の荒い吐息が耳元を焼く。



 彼は、の肌の至る所に、執拗に自らの痕を刻みつけた。



鎖骨、肩口、内腿――。
かつて甚爾が触れたかもしれない場所を、あるいはこれから見知らぬ男が触れるはずだった場所を、暴力的なまでの愛撫で塗り潰していく。



「ほら、言えや。自分を抱いとるんは、誰や」



「……なお、や、くん……」



「そうや。死んだ男でも、冴えんゴミでもない。俺や。俺だけが、今ここに居る。……自分をこんなに、ドロドロにしとるんや……っ!」



 直哉は、彼女が限界を迎えて泣き叫ぶたびに、さらに深く、強く、自らの存在を叩き込んだ。



「自分」という個を奪い、記憶の隅々まで自分の熱で焼き尽くす。



 それが、直哉にできる、唯一の、そして最悪の愛の証明だった。




「……やっと俺のもんになったんや。

骨の髄まで、俺に染まっとけ」
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