第2章 【直哉×甚爾元カノ】
三十歳の、成熟した女の肉体。
二十二歳の直哉が日頃見ている「若いだけの女」とは違う、柔らかく、ほどよく肉感的な輪郭。
濡れた髪が、白く滑らかな肩に張り付き、雫が鎖骨の窪みへと伝い落ちる。
バスタオルの上端に押し上げられた、豊かな胸の膨らみ。
湿り気を帯びた肌は、大人の色気を剥き出しに放っていた。
「……自分、なんや、その格好……」
さっきまでの猛り狂うような怒りはどこへやら、直哉の瞳には、抗いがたい情欲と、自分の理解を超えた「女」への畏怖が混ざり合う。
「なんやって……お風呂上がりなんだから当たり前でしょ。
勝手に入ってこないでって言ったじゃない」
は困惑したように眉を寄せ、露わになった胸元を隠すように抱え込んだ。
その僅かな動作で、タオルの隙間から零れそうになる肉感が、直哉の理性を無慈悲に削っていく。
直哉は一歩、また一歩と、蒸気のこもる狭い空間へと足を踏み入れた。
「……あのお見合い写真、なんや。
あんなカスみたいな男と、結婚するつもりか?
俺を差し置いて、あんなゴミに、自分のこの身体……触らせるつもりなんか」
直哉の声は、怒りよりも低い、獣のような唸りに変わっていた。
彼は、の濡れた手首を掴み、背後の壁へと押し込む。
冷たい壁の感触と、直哉の熱い掌。
「離して、直哉くん。あれは職場の人が勝手に……」
「黙れ。……自分は、俺のもんや。あの人のもんでも、あんなゴミのもんでもない。俺のもんやろ」
直哉は、の耳元に顔を寄せた。
石鹸の香りと、女の肌の熱。
若い青年の、壊れそうなほど肥大した独占欲が、暴発寸前で震えている。
「…他の男のモンになろうなんて、クソみたいな考え。俺が、今すぐ全部、消したるわ」
直哉の手が、の胸元に巻かれたバスタオルの端に、迷いなくかかった。