第2章 【直哉×甚爾元カノ】
宣言通り居座る直哉に、はゲームでもする?とトランプを見せる。
「は? 自分、俺を何歳やと思っとるんや。そんなガキ臭い遊び、俺がするわけないやろ」
直哉は鼻で笑いながら、不機嫌そうにソファのクッションを抱え込んだ。
言葉とは裏腹に、その座り方はすっかりこの家に馴染んでしまっている。
「あら、残念。トランプでもして、私が勝ったら直哉くんに肩叩きでもしてもらおうと思ったのに」
「誰が自分みたいな年増の肩なんか叩くか。
……大体、自分が俺に勝てるわけないやろ。術式なしの勝負でも、俺の方がよっぽど強いわ」
「はいはい、凄い凄い。じゃあ、ゲームの代わりにこれでも食べて落ち着きなさいな」
はキッチンから、剥きたての林檎の皿を持ってきた。
わざわざウサギの形に飾り切りされたそれを見て、直哉の眉間に深い皺が寄る。
「……自分、ほんまに俺を馬鹿にしとるやろ。なんやこのウサギ。幼稚園児の遠足か」
「食べないなら私がもらうわね」
「食うわ! 出されたもんを残すんは、禪院家の教育に反するからな」
毒づきながらも、直哉は慣れた手つきでウサギの林檎を口に放り込んだ。
咀嚼する横顔はやはり甚爾に似ているが、その頬が少しだけ膨らむ様子は、どうしようもなく若く、幼い。