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【HUNTER × HUNTER】愛されすぎて困ってます

第2章 【1】ゾルディック家






イルミがよく口にする“念”という存在。 わたしは未だにそれを理解出来ないでいた。 過去に1度、イルミに念のことを教わったことがあるんだけど、その日の夜に高熱を出してしまい、それからは自発的に話してくれること以外聞かないことにした。


感心の意を示していると、イルミは突拍子もなくわたしの体をひょい、と抱え、天蓋付きのベッドに移動させられる。 寝具に深く腰かける彼の隣に座らせられると、イルミはそのままわたしの頬に指を滑らせ、機械的な動きで首を傾げた。




「……。 次の仕事、も一緒に来る?」



「え? それって……」




予想もしていなかった言葉に、驚きを隠せないまま彼の顔を見上げる。




「そろそろお前にも殺すの手伝ってもらいたいし。 と言うか、元々そのつもりでここに連れて来たんだけどね」



「……。」




“仕事”。 “殺す”。 この世界のそれはイコールで繋がっていて、イルミを含める【ゾルディック家】は暗殺を生業にする家系なのだ。 もちろんそのことは前々から知っていたし、いずれわたしにも役割が回ってくるのだろうと、頭の奥底で感じていた。


その上で、なぜ驚いてしまったのか。 それは、この1年の監禁生活故である。 ろくに外に出ず、足も腕も弱り、イルミの半分に満たないほど細い。 おそらく体力は蚊ほども残っていないだろう。 そしてそれは、わたしを見れば100人が100人そうだろうと納得するほどの説得力があった。


そんな、連れて行くだけで足手まといになるのが分かりきっている自分を、大事な仕事に連れて行ってもいいのか。 それだけが気がかりで、わたしはイルミの言葉に何も返せずにいた。




「……ハァ、」


「……っ」




いつの間にか落ちていた視線が、びくりと震える。 苛立ちを含んだ彼のため息に、わたしは初めてここに来たあの日のことを一瞬で思い出した。 重い空気、冷たい汗、そして───




「黙らないで。 何考えてるか分からないし、反抗されてるみたいで気分悪い」



(───こわい……)



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