【HUNTER × HUNTER】愛されすぎて困ってます
第2章 【1】ゾルディック家
「」
ガチャ、と鍵が開く音が聞こえる。 名前を呼ぶ無機質な声が耳に届くと、わたしは一目散に彼のそばに駆けよった。
「イルミ! おかえりなさい!」
わたしが初めてこの家に来てから、はやくも1年が経過しようとしていた。 拙い言葉も知らない世情も、全部イルミとの会話で学び、流星街にいた頃は常に肌に触れていた無機物も、その冷たさを忘れてしまうほどだった。 背の高い彼を見上げ、会えた嬉しさに満面の笑みを浮かべると彼は後ろ手で扉を閉めた。
「……いい子にしてた? オレの言いつけ、守ってたよね」
「うん! この部屋から1歩もでてないし、今日はずーっとここにいたよ」
「そっか。 それはよかった」
彼の大きい手のひらが、わたしの頭に触れる。 ぽん、ぽん、と、数回触れると、彼は余韻もなくその手を離した。 “義務的”。 そう言わざるを得ない、熱のこもっていない行為でも、わたしの心は簡単に動いてしまうほど彼という存在は大きかった。
と言うのも、わたしはこの1年のほとんどをこの部屋の中で過ごし、その間イルミ以外の人間との接触、会話、見ることも禁じられていた。 理由は教えてくれなかったけど、食事はイルミが来るときに置いていってくれるし、トイレもお風呂も付いているこの部屋は、かつての住処より格段に住み心地が良かったのだ。
「イルミ、おしごとどうだった?」
「別に、いつも通りだよ。 ……あぁでも、最近は精神に干渉する念を使うハンターが多くて、殺す手間が増えたかな」
「へぇー。 イルミなのに?」
「オレのこと何だと思ってるの? ……何がトリガーになるのか、どういう作用があるのか。 干渉系の念って、その辺の駆け引きが特に面倒だから。 まぁ、それさえ分かればすぐに殺すけど」
「ふうん? やっぱりイルミはすごいなあ、わたしには絶対できないもん」