第26章 タイトル未定【予兆】
『……やけに静かだな、詩音』
ジロッと、宿儺の四つの目が詩音に向く。その視線を裏梅も追った。そこでは、詩音が膝を抱えて身を小さくしている。
『……放っておいてよ……あたしのことは、放っておいて……』
詞織、と声を震わせ、詩音は膝に顔を押しつけた。
その様子に舌打ちし、宿儺はツカツカと詩音の前に立つ。そして、ガッと頭を掴み、無理やり視線を合わせた。
『あまり つまらぬと、殺して喰ってしまうぞ』
宿儺の言葉に、詩音は紅い瞳でキッと睨み上げ、彼の手を乱暴に払った。
「詩音、貴様……!」
『【うるさい】‼︎』
術式を発動しようとした裏梅は、詩音の言霊に一瞬 動きを止める。
『うるさい うるさい‼︎ いい加減にして……! 放っておいてって言ってるのよ‼︎』
詩音に振り払われた手を見て目を丸くしていた宿儺が、不意にケヒッと口元を歪めて嗤った。
『良いぞ。オマエが俺を飽きさせぬうちは生かしておいてやる』
宿儺は詩音の頬を掴み、グッと顔を近づける。その言葉に、詩音はギュッと眉を寄せた。
『そんなこと……頼んでないでしょ』
詩音が宿儺に頬を掴まれた手を解く。
やがて、力なく紅い視線を逸らし、彼女は唇を噛んだ。
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