第26章 タイトル未定【予兆】
「あたしの知ってることを話すわ。色々 聞きたいことはあると思うけど、まずは最後まで聞いて」
詞織と顔を見合わせ、伏黒は黙って頷いた。
星良は何度か呼吸を繰り返し、ゆっくりと口を開く。
「――万が……宿儺に殺された」
ヒュッと、喉が鳴った気がした。
万が殺された? じゃあ、津美紀は――……。
理解することを拒絶する脳が、それでも理解してしまう。
「はっ……はっ……」
力が入らなくなり、伏黒はガクンッと膝を折った。
「メグ!」と、詞織が駆け寄って肩に触れる。その手に自分の手を重ねるも、伏黒は震えが止まらなかった。
伏黒は込み上げる嗚咽を堪えることができず、浅い呼吸を繰り返す。詞織も伏黒の肩口に額を預け、声を殺して泣いていた。
「恵、詞織。話は終わってないわ」
「姉さま、今はまだ……!」
詞織、と星良は言葉を遮る。
「最後まで聞いてって言ったはずよ」
真剣な声音で続ける星良に、伏黒は顔を上げた。彼女の表情は、どこか張り詰めたような緊張感を持っている。
「津美紀は……助けられなかった。でも、完全に諦める必要はないの。必ず助けるって約束はしてあげられないけど……まだ、可能性が潰えたわけじゃない。そのために、あたしは万に会いに仙台に行ってきた」
そこで、星良は話してくれた。
ヒトガタを使って仙台に行き、万と戦うはずだったこと。けれど、一歩 間に合わず、宿儺に万を殺されてしまったことを。