第25章 紐解くスコア【得喪】
「最深部は八〇〇〇メートルの日本海溝。そのプレートの沈み込み帯に【獄門疆】は置いてきたんだよ」
もちろん、二重三重の封印の中に、検知器としての呪霊も入れてね。
取り込んだ天元から『裏』のことは聞いていたから。
仮に封印を解かれたとしても君を殺せるように。
それなのに……。
「――マジで どうなってんだよ、君は……」
そう長々と講釈を垂れながら見上げてくる、夏油の皮を被った“何か”。
五条が黙ってソレを見下ろしていると、ソイツは口元に薄く笑みを刻む。
「どう? 久しぶり? お寛ぎいただけたかな?」
「オマエさ」
若干 被せるように言って、五条は続けた。
「もっと言葉を選んだ方がいいんじゃないか? 今際の際だぞ」
五条が腕を上げると、ソイツも身構える。だが、五条の攻撃より早く、別の何かが衝突し、同時に掴みかかってきた。
「……しばらく見ないうちに変わったね、星也」
普段は静かな夜を讃える瞳が、紅く染まっている。いつもは使命と責任に憂いていた表情も、今は戦いを求め、愉しげに歪んでいた。
「……覚えているか」
――「小僧の身体、モノにしたら真っ先に殺してやる」
「クックッ。安倍 晴明の末裔に受肉するとは、あのときは思っていなかったがな」
――殺す。
そう嗤う星也――否、宿儺の後ろに、白髪頭のおかっぱも降り立つ。
「悠仁から逃げた奴が……尻捲ってみっともねぇな! 間抜け!」
「貴様ッ‼︎」
煽ってやると、乗ってきたのは白いおかっぱの方だった。動こうとする白いおかっぱの腹に一発 入れる。
「テメェは誰だよ」
血を吐いて吹っ飛んだ白いおかっぱをヒョイと避け、宿儺が構えた。そこへ、夏油もどきが「待て、宿儺」と止める。