第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「そうだよね…。週末だし、かっちゃんの車って運転しやすくはないもんね。女の子にはハードルが高いよね」
「だったら、俺が代わりに運転してもいい」
「んじゃ轟はどうすんだよ。歩いて帰んのかよ。プライベートになるとポンコツ度増すのどうにかしろ、後先考えてからもの言え」
「そうか…」
「じゃあさ、せっかくだし、もう少しここで話していかない?僕もかっちゃんの彼女と話してみたい」
「ああ、俺もだ」
「あ″ァ!?」
「だってかっちゃんが彼女を紹介してくれたのなんて初めてだし」
「爆豪に彼女がいたのも、意外だったしな」
「ンだてめぇ、羨ましいのかよ」
「ああ。正直、羨ましい」
「だよね。僕も羨ましい、というか嬉しいな。かっちゃんの大切な人に会えて…」
「……チッ、……凪は?いいんか?」
「私も大丈夫だよ。非番だから急な呼び出しがなければ家で待機だよ」
「ってことはみんな大丈夫なんだね」
「暇人野郎共が…」
「そういえば、凪さんってさ、確かHR病院の救命チームだよね?」
「そうだよ。各病院にチームはあるけど、その中でもうちは救命に特化してるチームなの」
「知ってる。元ヒーロー科の先輩も何人か所属してるって相澤先生も言ってた…、って、ちょ、待って。凪さん…、雄英の…、普通科?」
「そうなのか?」
「うん、そうなの。実は同級生なんだよ」
「だってかっちゃん!前に雄英に来たときに僕に調べさせなかった!?」
「ああ…?……ンなこともあったか?」
「あったよ。これ絶対とぼけてる!その時に言ってよ」
「そん時ゃ、付き合ってねぇわ」
「じゃ何?凪さんのことが気になってたから、僕に調べさせたの!?」
「そうだったの?」
「違ぇわ!」
「なるほど。爆豪の方が好きだったんだな」
「だから勝手に納得してンじゃねぇ」
「あのかっちゃんが恋愛か…。ごめん、想像つかなかった」
「っるせぇな!これ以上言うなら帰んぞ!!」
「勝己、ごめん。私はちょっと嬉しいかも」
「だから違ぇって言っとんだろ!」
こういう時の出久の無駄な嗅覚、轟の空気を読まない一言。普段ならキレ散らかすレベルの面倒臭い茶番ですら、楽しそうに笑っている凪には勝てない。口直しのスパークリングドリンクでさえ、苦味だけが残る。