第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「……勝己」
「え?」
「そう呼べ。今日から」
「……どうして?」
「いちいち言葉にしねぇと分からんのか、てめぇは」
それは躊躇った一瞬の〝不意打ち〟だった。お互いの唇が重なる。それは思考より先に、心臓が大きく跳ねた。
「……好きだっつってんだよ」
ほんとに、一瞬の出来事だった。何事もなかったかのようにまた視線を前に戻して、信号は青になったのだろうか、ゆっくりと車は動き始めた。
「で?」
突然のキスに思考が止まってしまっていた私は、威圧的な一言にハッとした。
「はい…」
「てめぇはどうなんだよ?」
「………好き、です」
「だろうな」
自信に満ちた横顔はふっと笑って口角を上げる。告白ですら完膚なきまでに勝ち取ろうとするのは爆豪君くらいだ。
「なぁ…」
「はい」
「このまま、俺ん家、行ってもいいか?」
その一言で驚きも不安も期待も一度に押し寄せてきて、どれが本当の気持ちなのか分からなくなる。でも、嫌じゃない…、それだけははっきりとしていた。
「……うん」
短く返事をすると、爆豪は一瞬だけこちらを見て、すぐに視線を前に戻した。
「……わぁーった。ンじゃ、連れてってやる」
ハンドルを握ったままほんのわずかに口角を上げた。照れを隠すみたいにクラッチを切り、迷いのない動きでギアを上げる。エンジン音と同時にアクセルが踏み込まれ、車は静かに速度を上げた。