第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
あれから一ヶ月が経った。私たちは時間が合えば時々ドライブや夕食に出掛けて共に過ごす。まだ一ヶ月だというのに季節も関係もゆっくりと変化している。
昨日、梅雨入りを発表したせいか、昼間の湿気をそのまま閉じ込めたみたいに重かった。
助手席に座るのは、もう何度目だろう。駐車場に爆豪君の車があれば素直に嬉しかったし、いない日はつい探してしまう自分もいる。
ワイパーが一定のリズムで左右に揺れる。雨だから視界が遮られて、二人きりのこの空間が色濃く感じる。遭う度にお互いの距離が近づいている気がするのは私だけなのかな、ふとそんなことが過ぎった。車内にはエンジン音と雨音だけが響く。でもその沈黙もいつの間にか私は好きになっていた。
「……仕事、どうだった?」
前を見たまま爆豪君が呟く。相変わらずぶっきらぼうだけど、最近はこうして私の話もちゃんと聞いてくれる。
「今日は静かだったよ。雨だからかな?」
「なんも起きねぇなら、それでいい」
「そうだね」
言葉尻が優しくて、私は小さく笑った。
「爆豪君は?」
「書類地獄…」
「あははっ、そっか。それは大変だったね」
信号で車が止まり、赤い光が雨粒に濡れて反射する。その一瞬、ちらりと横顔を見た。ずっと先を見据えているような真っ直な視線に目を奪われる。その視線の中に私はいるのかな、なんて欲張りな自分が小さく呼びかける。
「爆豪君…」
何かを伝えたいわけじゃなかったのに無意識に名前を呼んでいた。