第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「…うん」
「食いたいもん分からんのだったら、晩飯は何食うつもりだったんだよ?」
「今日?」
「この状況で明日のこと言ってどうすんだよ」
「あはは、そうだよね。今夜はね、………ドーナツ…を好きなだけ」
「はぁ!?飯っつっただろうが」
「だって今日、あんな大変な事故で誰も犠牲者が出なくて嬉しくて…。明日も休みだから…」
「だからって晩飯がドーナツっておかしいだろ」
「それは…、確かにそうだけど…。でも、聞かれたから素直に言ったのに」
「ああ!?」
「なんでもないです。ご飯はダイナマ…爆豪君の行きたいところでいいから」
「じゃあ一番高いことでいいんか?」
「なんで!?」
「奢らせろっつっただろ?」
「そうだけど、でも、だめだよ。私、一般人で、しかも今日はこんな格好だもん。高いとこって高級なお店でしょ?そんなとこ絶対行けない。摘み出されちゃう。一番行っちゃいけないとこだよ」
パニックになるとつい早口になってしまう悪い癖が出てしまった。爆豪君は呆れたように目を細めた。
「お前さぁ…」
「はい…?」
「出久みてぇだな」
横目でちらりと見た爆豪君の表情が、少しだけ柔らかくなるのに気づいた。口元がわずかに緩み、威圧的な雰囲気は消え、ほんの少しの時間だけ口角がわずかに上がった。
…え、今の…笑った?思わず心の中で呟いた。普段は絶対見せない表情を私にだけ向けてくれたような気がして頬が熱くなるのを感じた。
「飯、どこでもいいンなら出久が勧めてくれたとこにするわ」
「うん」
心臓がうるさいくらいに高鳴っていた。緊張なのか、それとも別の理由があるのか。心を落ち着けるように助手席の窓から見える景色を見ていた。