第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
スポーツカーを駐車場に止め、ドアを閉めると、さっきよりも冷たい空気が頬を撫でた。街灯に照らされた通りの向こうに、カフェの小さな灯りが見える。外壁は淡いクリーム色で、木の枠組みが優しい雰囲気を出している。
「爆豪君、こんなとこ行くんだね…。意外」
「来るわけねぇだろ。出久が麗日と行って良かったっつってただけだ」
「そうなんだ。やっぱりあの二人って…」
「興味ねぇけどな」
庭を抜けると小さな看板には手描き風で【Valon Kahvila】と書かれていた。扉を開くと店内の温かい光と〝いらっしゃいませ〟と店員さんの優しい声に迎えられる。店内は落ち着いた雰囲気に、赤や青の大きな花柄が描かれた装飾品が目立つ。木製のテーブルや椅子に手作り感のある食器やカップも並べられて、その世界観に思わず声を上げたくなる。
私の反応とは対照的に爆豪君は表情を変えずに案内された席へと向かう。さっきは暗がりでよく見えなかったけど、シンプルなTシャツのカジュアルな服なのに隙がない。自然と目が引き寄せられて一緒に座っていることが嬉しかった。
「すごくいいお店だね、ここ。入った時からコーヒーと甘いお菓子の匂いして、中も可愛くて」
「ここなら甘いモン食えんだろ?」
「それでわざわざここにしてくれたの?」
「違ぇ。俺はコーヒーが飲みたかっただけだ」
「でも爆豪君には晩御飯だったんだよね?私がドーナツとか言っちゃったから」
「食えりゃなんでもいい」
「そっか…。じゃあ何にしようかな」
手書きのメニューを広げると美味しそうな料理やお菓子の写真が並んでいた。
見てるだけでも頬が綻ぶ。あんなに緊張していたのに、今は相手がヒーローの大・爆・殺・神ダイナマイトだってことも忘れてしまっていた。