第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
ダイナマイトがどういう人かってことくらいは少しは知っていた。それはヒーローとしてではなく同級生として…。普通科でも有名だった彼の言動にビクビクしながらも、何処か憧れも抱いていたのも事実で、今、車の中で二人きりになっているなんて信じられなかった。
「待っていてくれたなんて思ってもなくて…、お待たせしてすみません」
「敬語はいい。後、二人ン時はヒーロー名で呼ぶな」
「え?」
「タメだろ?……それも雄英の」
「知ってたんですか?」
「敬語…」
「あ、はい!……えと…、どうして知ってるの?」
「調べた、っつーか暇人教師に調べさせた」
「……緑谷君に?」
「まぁな」
車内に短い沈黙が落ちる。調べさせたってなぜ?胸の奥はざわつき始め、緊張が高まっていく。手は膝の上でぎゅっと握りしめて、視線は街灯の流れていく光を追っていた。その時、低く声が響く。
「んで、飯。何が食いたいんだよ」
言葉は唐突で、まるで何も考えていないみたいなのに、私の心臓は跳ねた。反射的に目を向けると、横目でこちらを見ている爆豪の視線が、いつの間にか真っ直ぐに私を捉えていた。
「あんまり考えてなかった。なんでもいいです」
「だから敬語」
「ごめんっ。…ほんとにね、なんでもいいの。私、何もしてないし」
「しただろ。俺が助けたガキの命、守ったんはお前だ」
その言葉に自分でも驚くくらい、心の中にふわりと温かいものが広がった。普段は威圧的で近寄りがたい存在のダイナマイトが、私の存在を認めてくれたみたいに感じた。胸の中で小さな喜びがこみ上げて、自然と肩の力が抜けていく。
「ありがとう…。そんな風に言ってくれるなんて思わなかったから、すごく嬉しい」
「だから素直に奢られとけ」
ぶっきらぼうだけど優しい口振りに自然と口元が緩む。