第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「ククッ……、なんだそりゃ」
肩をわずかに揺らしながら、呆れたように、それでいてどこか楽しそうに笑う。
「娘、冗談だ…。せっかく顔は母ちゃん似なんだから、あんま父ちゃんに似んなよ」
「……うん」
「うん!?…おい、待て爆豪。それ、どういう意味だ!?」
「落ち着いて。子供の言ってることだからね?」
「爆豪に娘はやらねぇぞ」
「だから本気にしないで」
「つってもなぁ…俺は選ぶ立場じゃねぇからなぁ。けど選ばれたら仕方ねぇよなァ」
「勝己、これ以上煽らないで。焦凍は娘のことになると視野が狭くなるから」
「俺は絶対に阻止する」
「だから焦凍も煽りに乗らないで」
「ねぇ、だいなまいと。今日おうちくる?」
その場の空気なんて一切お構いなしに、娘はきらきらした目で勝己を見上げていた。ぬいぐるみを抱え直しながら、満面の笑みを向ける。
「おうちでいっしょにえいがみよ?」
「ああ?…家、行っていいん…」
「ダメだ」
勝己が言い終わる前に、焦凍の鋭い声が立ちふさがる。勝己を見る目に余裕はなく、一切笑っていない。
「パパ、どうして?おともだちなんでしょ?」
「おともだち、だよなぁ?轟君?」
「…っ」
「でくもおうちくるよね?」
「僕も行っていいの?」
「うん!またおーるまいとのおはなしして?」
「もちろんいいよ。でも、僕も行っていいかママに聞かないとね」
その言葉を待っていたかのように、娘はぱっとこちらを振り向いた。
「ねーママ!みんなおうちくるって。いいでしょ?」
ぬいぐるみを抱えたまま、期待に満ちた目で見上げてくる。そのまっすぐすぎる視線に、思わず言葉が詰まった。
「ごめん、流れでそうなっちゃった。僕、娘ちゃんのお願いには弱くて…。お邪魔しちゃっていいのかな?」
「うちは全然大丈夫だけど…、でも、焦凍はいいの?」
「パパもいいよって」
「俺はまだ許してねぇ」
「なんで?いつもいいよって言ってくれるのに?」
その一言に、焦凍の動きがぴたっと止まった。娘の正論に言い返す言葉が見つからないのか、明らかに動揺している表情だ。
「これじゃ断れねぇな。轟君…?」
追い打ちをかける勝己の声に、焦凍は小さくため息をつく。