第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「ねぇ、だいなまいと…」
「んだよ、娘…。だいなまいとってちゃんと言えたじゃねぇか」
「あのね」
娘は少し首をかしげて、じっと勝己を見上げる。
「だいなまいとは、おうじさまヒーロー?」
「あ?…王子?そう見えるンか?」
「…うん。おうじさまと、いっしょのかみのいろだから」
「……ンじゃ、王子だな」
その言葉の意味を理解した瞬間だった。ぱっと、娘の表情が明るくなる。目は一気にきらきらと輝いて、口元が嬉しそうに緩んだ。
「パパ、わたしね!」
「ん?」
「だいなまいととけっこんする」
その一言に、焦凍の動きがぴたりと止まった。理解が追いついていないというより、どう処理すればいいのか分からない表情。
「……は?」
ようやく出た声は、いつもより少しだけ間抜けに聞こえる。
「なんだよ、娘。俺がいいんか?」
勝己は吹き出して笑いながら、娘の頭を優しく撫でる。
「うん。パパもすきだけど、しょーとよりだいなまいとがかっこいい。おうじさまヒーローだもん」
「待っ…」
その言葉に、焦凍は言いかけたまま固まっている、口は開いたままなのに、次の言葉が出てこないようで、珍しく完全に思考が止まっていた。
「マジかよ、娘。お前、母ちゃんに似ていい男の趣味してんな」
「ちょっと、かっちゃん…」
「勝己。……今、この子ね、プリンセス映画にハマってるの。だから本気にしちゃう」
「あ?俺ァ、独身だ。別に問題ねぇだろ」
ニヤッと口角をあげて煽るような挑発だった。
「それは絶対にダメだ…」
その挑発にのるように、普段聞かないような焦凍の低い声が、静かに牽制する。
「焦凍、そんなムキにならなくても」
「爆豪だけは、絶対にダメだ…」
「轟君!?顔、怖くなってるよ!?」
そのやり取りを横目に、勝己は小さく吹き出した。