第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
家に戻った時には、夕方の柔らかな光が、リビングの窓から差し込んでいた。締め切っていた部屋にはぬるい空気が残っていて、窓を開ける。ふわっと入ってきたのは6月にしては湿気の少ない風だった。
「体調はどうだ?」
「……うん。今は、大丈夫」
「少し休め。」
「ありがとう」
さすがに疲れたのか、凪はソファにそのままもたれ掛かるように座ると、ゆっくりと息を吐き、目を閉じる。
「布団、行くか?」
「大丈夫」
「何か飲むか?」
「うん。冷たいお水だとありがたいかも…」
いつもは温かい飲み物しか飲まない凪が、冷たい水を欲しがるのは珍しかった。俺の知らないところで体調は少しずつ変化しているんだなと、そう思いながら冷蔵庫を開ける。
「そういえば、病院にくる前の緊急要請は大丈夫だったのかな」
ミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぎながら答える。
「ああ。さっき麗日から無事に全員保護できたって連絡があった」
「そっか。それならよかった…」
凪は肩をなでおろすように小さく息を吐く。
「逆に心配かけちまったな」
「ううん。そんなことないよ。麗日さんたちにもお礼を伝えなきゃね」
グラスを手に戻ると、凪はさっき病院でもらったエコー写真を眺めていた。邪魔をしないようそっと机にグラスを置く。
「これが赤ちゃんなんだね…」
ソファに並んで腰を下ろし、手の中の写真へ視線を向ける。白と黒だけの輪郭もまだはっきりしない小さな影がそこにあった。