第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「私たちが出動しますわ。轟さんに代わって」
迷いのない八百万の表情に続くように、麗日も蛙吹も顔を見合わせてから頷く。
「うん!そうやね!迷子の捜索なら私たちも力になれる」
「こういう依頼は得意よ?任せてちょうだい」
三人の言葉が、重なる。そのまっすぐさに、一瞬だけ言葉を失う。
「…ほんとに、いいのか?」
「ええ。午後からはパトロールの予定だったので」
「轟君の任務は、彼女さんの病院の付き添いだよ」
「早く行ってあげて?きっと一人で不安だと思うわ」
八百万はモニター横の受話器を手にとり、アナウンスに返答する。
「この任務にきましては、ショートに代わり、只今よりチームアップとして、ウラビティ、フロッピー、クリエティの3名が出動いたします」
そのやり取りを聞きながら、俺はゆっくりと息を吐く。三人の迷いのない決断が背中を押してくれるように、ためらいも静かに消えていく。
「……悪い。任せる」
視線を三人に向けて、はっきりと告げる。
「うん!行ってらっしゃい!」
「どうかお気をつけて」
「いい報告を待ってるわね」
「ああ。行ってくる」
短いやりとりの後、事務所のドアへ向かった。まだ赤く点滅する警告灯が視界に入っても、足は止まらない。
ドアを開けて、廊下を抜け、階段を駆け下りる。
〝凪〟
その名前だけが、はっきりと頭に浮かぶ。
どんな顔をして会えばいいのか、何を伝えればいいのか、何ひとつ分からない。ただ会って抱きしめたい。
「……待ってろ」
小さく呟いた声は、風に紛れて消えた。