第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「八百万さんと梅雨ちゃんとはね、連休前の交通安全運動で一緒やったの。で、いろいろ話してたらさ、轟君とお弁当の彼女との恋の行方、どうなったんやろってなって」
「わたくしも、失礼ながらお二人のことが気になっていましたの」
「轟ちゃんのことだから、きっとうまくいってると思ってたけど……」
三人の視線が、まっすぐこちらに向けられる。あのとき、自分の気持ちに気づいたこと。背中を押してくれたのも、この三人だった。
ほんの一瞬だけ間を置いてから、口を開く。
「ああ。今、まることは付き合ってる……」
爆豪以外に口にするのは、これが初めてだった。
想いが通じてから数ヶ月。関係は大きく変わったわけじゃない。けど、こうして弁当を食べている時間も含めて、確かに前とは違っていた。
「そうなん!?」
ぐっと前に出た麗日の声がぱっと弾んだ。
「おめでとうございます!轟さん!」
「よかったわね。」
八百万と蛙吹は顔を見合わせて笑う。
「これも、みんなのおかげだな」
「そんなことないよ。轟君の想いの勝利だよ」
「栄養も彩りも考えられたお弁当を作る方ですもの。お相手の方もきっとお慕いしていたんですわ」
「轟ちゃんの恋人ならきっと可愛い子ね」
その言葉に、朝、送り出してくれた時の凪の笑顔が浮かぶ。
「ああ。可愛い…。ずっと大切にしてぇ」
仕事が終わったら、いつも出迎えてくれる凪を真っ先に抱きしめたい、そう思う。玄関の扉を開けた先の優しい空気、凪の笑顔、たった数時間しか離れていないのに、恋しさが募る。
「大切な彼女さんなんやね」
「ああ」
「幸せそうな轟さんの表情にこちらまで幸せな気持ちになりますわ」
「会ってみたいわね。」
「今度、紹介する」
「ええの!?」
「ああ。聞いてみる」
「会ってみたいよね!?話してみたいよね!?……あと、お弁当作り、教えてほしいな」
「お弁当は、緑谷ちゃんに?」
「ちゃ、ちゃうよ!……自分のために、やもん」
「私も、このオムライス、食べてみたいですわ」
ふと視線を落とすとさっきまで食べていた弁当が目に入る。凪に伝えたらどんな顔をするだろうか。少し驚いて、照れたように笑う顔が浮かぶ。そんなことを思うだけで、自然と口元が緩んだ。