第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 轟side
二人で過ごす時間は、静かに穏やかに流れていく。朝と夜で変わる空の色も、吹き抜ける風の温度も、そのすべてが二人で重ねてきた日々の証だった。
この日は、昼時なのに珍しく他のヒーローたちは出払っていた。しんと静まった事務所に一人残り、昼休憩をとっていた。机の上の報告書やメモをまとめて、丁寧に包まれた弁当箱をデスクに置く。
今日の弁当のおかずはなんだろうか。蓋を開けるこの瞬間は、いつも少しだけ子供のように心が弾む。包みをほどき、蓋を開けると、ふわりと甘い香りが広がった。
「今日は、オムライスか…」
黄色の卵、赤いケチャップ、その端にはボイルされたブロッコリーとニンジン、そしてミニトマト。食欲をそそる色とりどりな弁当に、そっと手を合わせる。
「いただきます」
静かな事務所に、その声だけがぽつりと落ちる。誰にも茶化されず、この時間を独り占めできるのは、俺にとっては悪くない。備え付けのスプーンを手に取り、一口運んだ。ほんのり甘い卵にチキンライス、ケチャップの酸味が絶妙に美味い。
自然と、そんなことを思った、そのときだった。コンコン、と軽いノック音が響く。
「轟君、おる?」
ドアの隙間から、そっと顔を覗かせたのは麗日だった。中の様子をうかがうようにきょろきょろと視線を動かし、俺に気づくとぱっと表情を明るくする。
「あ、やっぱりおった!」
その声に続いて、八百万と、その後ろからぴょこんと梅雨が姿を見せる。
「失礼いたしますわ、轟さん」
「おじゃまするわね、轟ちゃん」
三人が同時に入ってきたことで、先ほどまでの静けさが一気に和らぐ。俺はスプーンを持ったまま、一瞬だけ動きを止めた。
「久しぶりだな。どうした?」
短くそう返すと、麗日はテーブルの上の弁当箱に気づき、ぱっと目を丸くする。
「あっ、やっぱり、今日も手作りのお弁当!オムライスやぁ」
「今回も彩りも栄養もバッチリね」
「お昼時にお邪魔してしまいましたかしら」
「いや、構わねぇ…。何かあったのか?」
俺の弁当をじっと見ていた麗日が、少しだけ声のトーンを落として口を開く。