第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「……あ、だから私、今、焦凍の服着てるの?」
起きたときは気づかなかったけど、やけに布が大きいし、袖も余っている。
「悪い…。風邪引かせるわけにもいかねぇから」
「そんなことないよ。私の方こそ、迷惑かけちゃったみたいだし、こんな時間まで寝ちゃってごめんね」
焦凍はしばらく何も言わなかった。何かを考えているような沈黙に、頭の中には疑問符が浮かぶ。
「…焦凍?」
顔を覗き込むと同時に肩を引き寄せられた。不意のことに反応する間もなく、体が焦凍の胸の中に収まる。少しだけ強い力に抱きしめられて、一瞬、息が詰まる。
「どうしたの?」
問いかけても、返事はなかった。
昨日、一緒に食べようと言ってたチョコを一人で食べて、そのまま寝てしまったことを思い出す。もしかしてそれで怒ってる…?そう思ったとき、ふっと、腕の力が解けた。
「悪い。……なんでもねぇ」
「何かあった?」
一瞬、間をおいてから私を見る。いつも通りの穏やかな表情で、跳ねた髪を直すように撫でる。
「昨日のチョコは美味かったか?感想を聞く前に寝ちまったからな」
「そっか。ごめんね。…すごく、美味しかった。最初はアルコールがキツイなって思ったけど、チョコの香りに甘みと苦みが合わさっていくのが本当に美味しくて…。手が止まらなかった」
「そうか。それならよかった。今度、オーナーにも礼を言っとくな」
「うん」
頷きながら、さっきのことを思い出す。
抱きしめられたときの、少しだけ強かった腕の力。焦凍はなんでもないとは言ってたけど…、ふと小さな違和感だけが残る。
「また買ってくる」
「いいよいいよ。あのチョコ、すごく高級なものだし予約も取れないし…。一生に一度食べられるかどうかなんだよ?」
「けど、次は俺も一緒に食いてぇからな」
そう笑う表情は穏やかで、声もずっと優しかった。そんな焦凍の様子に、お昼まで眠ってしまった罪悪感と、私の思い違いなのかもしれない、と肩の力が抜ける。