第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「ねぇ、焦凍は知ってる?」
「何をだ?」
「バレンタイン特集でやってたヒーローランキングのこと」
「ヒーローランキング?…いや、知らねぇけど」
「だよね。……私も、知らなきゃよかった」
「どういうことだ?…なんかあったのか?」
そういえば先月あたりに、新人ヒーローたちが盛り上がっていたような気がする。日々変わるチャートの数字は多少気にもしてたけど、その他のランキングには元々興味はなかった。
「ヒーローショートはね、イケメンヒーローランキング一位、恋人にしたいヒーローランキング二位、結婚したいヒーローランキング……、一位なんだって」
「よく覚えてたな」
「そりゃあね…。だって、ショートに投票したい気持ち、分かるもん」
小さな声に続き、凪はゆっくりと上体を傾けてきた。柔らかく温かい体、アルコールとチョコレートの甘い香り、息が触れる距離感に心臓が速まる。
「ねぇ焦凍…。みんなのヒーローを独り占めしちゃ、だめだよね」
これは凪の本音なのか、それともアルコールのせいかのか、その真相は不明だ。それでも、その言葉にまんまと翻弄され、たまらず小さな体を包み込むように抱きしめる。
「俺は凪に独り占めされてぇ…」
「…いいの?」
「ああ…」
胸に頬を寄せ、どこか遠くを見つめながら、どこか弱々しい声で呟いた。
「焦凍は、私の、だもん…」
多分、爆豪は凪がこうなるのを知っていたのだろう。だから自分の前以外で飲むなと、凪に言ったんだと、今になって理解する。
凪はまだ胸に体を預けたまま、ゆっくりと息を整えている。上着を着ていないのに体温もいつよもり高い。
「寝ちまいそうだな…。布団行くぞ?」
俺はそっと腕を引き、無理のないように抱え上げて立ち上がる。柔らかく温かい体を感じながら、リビングを抜け、寝室へと向かった。