第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 轟side
夕食も終わり、二人で過ごす静かな時間が訪れる。ソファに並んで腰掛けると、テレビの画面には、ずっと凪が観たいと言っていた映画が静かに始っていた。先に風呂から出た凪からはほのかに入浴剤の甘い香りが漂い、洗いたての柔らかな髪が肩にふれる。
「そういや、言ってなかった」
「え?」
「チョコレートは好きか?」
「チョコ…?好きだよ」
「前に言ってた凪の好きな菓子の店。今日、店の近くを通ったら、偶然にオーナーに会ったんだ」
「ラ・フロール?」
「ああ。……恋人のために、またケーキを買いに来たいって言ったら、新商品があるって言ってもらってきた」
その言葉を聞いた途端、凪の目がぱっと輝く。何かを思い出したように机の上のスマホを手にとる。
「え、待って待って…」
慣れた手つきで画面を開くと、SNSのアイコンに触れる。差し出された画面には丸いチョコレートの写真に〝春の訪れを感じるボンボン・ド・ショコラ〟と書かれている。
「それってさ、…これのこと?」
「ああ、多分、それだ」
「これ、まだ発売されてないんだよ?」
「そうなのか?オーナーは内緒でっつってたけど、そういうことか」
「あるの?その幻のチョコレートが」
「ああ。冷蔵庫に入れてある」
「見てきていい?」
「ああ」
凪の声は弾んでいて、すっと立ち上がった。足取りは軽く、どこか浮き足立っているのが背中越しにも伝わってきて、その様子を目で追っていた。
「あ、これだ」
少し弾んだ声のあと、足音がぱたぱたと戻ってくる。凪の手には白い長方形の箱。両手で包むように持ち、落とさないようにか、なぜか少しだけ恐る恐る運んでいた。
「焦凍。…これってグランボックスじゃ」
「なんだそれ…」
「いろんな種類がね、たくさん入ってる詰め合わせ…。数万円するかもしれない。どうしてこんな高級なものを?」
「恋人ができたお祝いって…」
「嘘…」
「けど、ボンボンなんとかってなんだ?」
「ボンボン・ド・ショコラね。一口サイズのチョコなんだけど、中にガナッシュとかキャラメルとか、お酒とか…いろんなものが入ってるの。見た目もすごく綺麗で、一粒ずつ味も全然違うんだよ。開けていい?」
「ああ」