第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「かっちゃんって、やっぱりかっちゃんだよね」
「どういう意味だよ」
「そのまんまの意味」
「意味分かんねぇよ」
爆豪は顔を上げて、わずかに眉をひそめる。
「じゃあ、ここからは僕の出番ってことで…」
「はァ!?」
「かっちゃん、ここまできたらさ、最後まで僕にお節介させてね」
「あ″ァ!?テメェにンなことされる筋合いなんざ一ミリもねぇわ」
「幼馴染なんだし、こんな時くらい一緒にいさせてよね。……だから、轟君と凪さんは、僕たちのことは気にしなくていいよ」
爆豪は一瞬、黙って天井を見上げた。さっきまで荒々しかった息遣いがゆっくりと落ち着き、鋭かった視線も和らいでいる。
「ああ。じゃあ…緑谷、あとは頼むな」
「もちろんだよ」
「人の話もろくに聞かねぇで勝手に頼まれンな」
「うんうん。その話は僕が聞くよ。ほら、轟君たちはもう行って…。かっちゃん。ここは男らしく見送ってあげようね」
「……チッ、…クソがッ」
「爆豪、また見舞いにくる」
「凪以外、来んな」
「じゃあ一緒に来る」
「最後まで喧嘩売るなや。……さっさと行け」
「ああ…。じゃ、行くか?」
「うん。…勝己も早く良くなってね。でも、無理はしないでね」
「……わーっとる」
凪の目は優しく爆豪を見つめていた。ふっと笑ったあと、目線を俺に移し、握っていた手を軽く握り直す。それが爆豪へのけじめのようにも思えて、受け入れるように握り返す。
「凪…」
爆豪は静かに口を開く。
「轟に飽きたらいつでも戻ってこい…」
その言葉に、凪の瞳がわずかに揺れた。俺は隣で握る手の温もりを確かめつつ、心臓が高鳴るのを感じる。爆豪からの不意打ちに、ここで首を縦に振らないかと、少しだけ焦る気持ちもあった。
「ありがとう…、勝己」
凪は小さく微笑み、〝またね…〟と続けた。先に動き出したのは凪で、繋いだ手から伝わる温かい温度に互いの覚悟と信頼が重なっているのが分かった。目線を交わすだけで自然と笑みがこぼれる。言葉にしなくても互いの気持ちが伝わる、そんな瞬間だった。