第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「悪いな爆豪。それはできねぇ」
「ンでだよ。ちったぁ空気読めや」
「爆豪と二人きりにさせたら、そのまま奪われちまいそうだからな」
「はっ、こんくらいで奪われンなら、お前も大したことねぇな」
「ああ…。俺は凪の恋人としてはまだまだだからな」
「ンな舐めたこと言ってっと、マジで奪い返すぞ?」
「そうならないように、俺が頑張るしかねぇよな」
「当たり前だ。好きな女守るんなら、命かけろ、死ぬ気でやれ」
「かっちゃんに言われたら、反論できないね、轟君」
「そうだな…」
病室の空気は静かに張り詰めていた。そんな様子を見て、凪は少し困ったようにふっと笑った。柔らかな微笑みが部屋の緊張を一瞬だけ緩めて、隣で緑谷が明るくなだめるように口を開いた。
「まぁまぁ、二人の凪さんへの熱い想いは十分分かったから。…実は僕さ、凪さんに謝りたかったことがあったんだ」
その言葉に視線は緑谷に向いた。声の明るさとは裏腹にどこか申し訳なさそうに視線を落とす。
「私…?」
「うん。……僕さ、あの時、凪さんに余計なこと言っちゃったのかなって。迷わせちゃったよね、絶対…」
「おい、出久、テメェ…。またなんか余計な事したのかよ」
「いや、なんていうか、僕の個人的な感情もあったから…。それを謝りたかったんだ」
「なんのことなんだ、緑谷…。爆豪は意味分かるか?」
「このクソナードの考えてることなんざ、分かるかよ…ッ」
「そうだよな、よかった」
「安心してんじゃねぇ。そんなんだからテメェはいつまで経っても舐めプ野郎なんだわ」
「けど、相手は緑谷だろ?なら、別にいいんじゃねぇか?」
「そういうことを言ってんじゃねぇ!!」
普段通りの爆豪の怒鳴り声が響く。
「緑谷君は謝らないで?緑谷君の気持ちはすごく分かるから」
「うん…。凪さんは優しいから、僕があえて言う必要もなかったよね」
凪は小さく頷き、一瞬だけ言葉が途切れる。
「…だからなんなんだよ」
「俺らには言えないことなののか?」
「うん。勝己にも焦凍にも言えないかな…。緑谷君と私の秘密で…」
〝ね〟と緑谷と視線を合わせて、笑う。緑谷も安心したように表情を緩めた。