第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「ええ!?」
裏返った声が静まるリビングに響いた。俺は、
「その件もあって出久を呼んだ」
「……何か、あったの?」
出久の表情が強張った。まっすぐにこちらを見つめる瞳に不安が滲んでいる。
「ガキができた」
静かな部屋に俺の声が響く。確かめるように言葉が続く。
「来年の夏、……産まれる」
言葉の意味を掴みきれないままなのか、目だけが見開かれていた。想定内の反応とはいえ、瞬きすら忘れている。
「おい、聞いとンのか?」
はっと我に返ったように、肩が小さく跳ねる。
「え、っと、ごめん、びっくりして。……凪さんが寝てるのって、それで?」
「ああ。明け方まで吐いとったからな」
「そうだったんだ。…それは、かっちゃんも心配だよね」
出久は言いながら、視線を少し伏せる。状況を飲み込みながらも、まず相手のことを気にする癖は変わらない。
「代わってやれねぇからな。…双子だしよ」
「双子なの?」
「ああ…。この前説明聞きに行っとったけど、出産まで大変みたいだな」
「……そっか。かっちゃんが、支えてあげなきゃね。僕も何かあったら力になるよ」
出久なら間違いなくそう言うと思った。だから、こいつしかいなかった。
「んで、こっから本題な…」
「うん」
「俺も凪の出産には立ち会いてぇ。だから、デクに正式に頼む。その間だけでもチームアップとして来てほしい」
出久は一瞬、目を見開く。その後、ふっと表情がやわらぐ。
「……断る理由なんてないよ」
そう言って、出久は笑った。なんでも受け入れるような、いつもと同じ少し頼りない笑顔。でも、その奥には揺るがない芯があった。