第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「僕でよければ喜んで力になりたい」
「……悪い」
短く返すと、出久は小さく首を横に振った。
「おめでたいことじゃない。それに生まれるのは来年でしょ?それなら調整はできるし、きっと相澤先生も他の先生たちも喜んで協力してくれる」
出久の言葉にその光景が目に浮んで、胸の奥が熱くなる。
凪の不安に寄り添えなかった過去の後悔を、少しでも拭えるなら、できることはなんでもしたかった。
「借りができたな」
「これは一生返さなくていい借りだからね。むしろ力になれるのが誇らしいよ」
その笑顔は昔から変わらないはずなのに、今はどこか頼もしくも見える。
「クソナードのくせに…」
「本当におめでとう、かっちゃん」
「テメェもさっさと身を固めろ」
何気なく放った言葉に出久は一瞬だけ固まった。視線をそらして困ったように頬をかく。
「……そこは、はい、善処します」
その答えに、思わず鼻で笑った。そこだけは変わらねぇな、と肩の力が抜ける。
「でも今、凪さんもここに住んでるんだよね。チームアップとしての間、僕が出入りしても大丈夫なの?」
「そこは問題ねぇ。出久は隣の部屋を使えばいい」
「隣?」
「マンションの両隣の部屋は元々買い取っとる」
「この広さの部屋を!?両隣!?もしかしてあのフロアごとかっちゃんのものなの」
「ンなもん、セキュリティ強化のためだ」
「……君、一体いくら稼いでんだよ」
「まぁ俺のいない間もしっかり稼いでくれや、ヒーローデク」
「………それも、善処します」
頼りなく苦笑する出久の肩を軽く叩いた。