第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「凪ちゃんごめんな?俺たち相変わらずこんなんでさ」
「ううん。来てくれて嬉しい」
「でもほんと、めっちゃ綺麗だよ。あとで、耳郎に写真送っとこ」
「ありがとう。このドレスは勝己が選んでくれたみたい」
「マジで!?めっちゃセンスいいじゃん」
「かっちゃんは意外と可愛いものが好きだったりするからね」
「意外ってなんだ!?俺の直感は外れねぇんだよ!!」
「そうだな。凪は本当に綺麗だ…」
「なになにぃ!?轟も凪ちゃんみたいな女の子がタイプ!?」
「ああ、そうだ」
「お前ら性格は全然違うのに女の子のタイプは似てるんだな」
「そうみたいだな…」
「一緒にすんなやクソどもがァァァァ!!」
勝己の叫びが響く会場。周りのスタッフたちも、ヒーロー同士のやり取りをどこか微笑ましく見守っている。
その中で、私はふと気づいた。焦凍の視線はまだ私に向いていて、目が合った瞬間、私は一歩だけ勝己の前に出た。
「なぁ、爆豪」
「ンだよ」
「少し、凪と話してもいいか?」
焦凍は一度だけ間を置いてから、まっすぐ言った。
「テメェは人の話聞いとんのか!?ダメに決まってんだろ!!」
「少しでいい」
勝己は数秒だけ黙り込み、視線を逸らすと背を向ける。
「……0.5秒だけな」
素直じゃない、それでも勝己なりの許可だった。
「ありがとう、爆豪」
焦凍と向き合うと、また少しだけ空気が変わった。不思議な静けさがあって、そこには切なさも申し訳なさもなかった。ただ一つ、まっすぐな感謝だけ。
「焦凍には感謝してもしきれないね」
「今、ちゃんと幸せそうに笑ってるから、爆豪を選んだことが間違いじゃなかった、そう思った」
「……今ね、すごく幸せだよ」
その言葉に、焦凍は目を細めた。
「そうか。その言葉を聞けてよかった。これからも二人の幸せを見守らせてくれ」
「テメェに見守られる必要は一切ねぇ」
「そんこと言わないで。それは僕たちも同じだよ、かっちゃん」
「そうそう!二人も色々あったじゃん?だから俺たちも幸せを願ってる」
「だからここまで来たんじゃん!」
口々に飛んでくる言葉に勝己は一顔をしかめ、小さく舌打ちをした。
「勝手にしろ」
吐き捨てるように言いながらも、その背中はほんの少しだけ力が抜けているように見えた。