第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
教会の外へ出ると、澄んだ青空と色とりどりの花びらが舞っていた。音楽もない二人だけの静かな挙式なのに、木漏れ日から差す光はまるで祝福してくれているように降り注ぐ。
「勝己、ありがとう…」
そう呟きながら左手の薬指に光る指輪にそっと触れる。
「……轟の邪魔が入んなかったら、とっくに渡してた」
この指輪もてっきりスタッフに頼んだものだと思っていた。なのにサイズまでぴったりで、言葉が詰まる。
「元々、あの事件が解決したらプロポーズするつもりだったンだよ。そん時から、用意しとった」
あのときは自分のことばかり考えていて、気づきもしなかった。
だけど、勝己はずっと、未来を信じてくれていたんだ。
「今頃気づくなんて……遅すぎるよね」
「やっと叶ったんだ」
その声は低く、静かに落ちる。
「……遅れた分、逃げんなよ」
そう言って、ほんの一瞬だけ笑った。
そのとき、遠くから、聞き慣れたような声がした。
「……っちゃーん」
一瞬空耳かと思ったけど、さっきまで落ち着いていた勝己の表情が鋭くなる。
「……おい、今の」
「っちゃーん!おーい!」
今度ははっきりと分かる。間違えようのない、あの声だった。
「……出久?」
声のする方に視線を向けると、空にはいくつかの影が重なって降ってくる。
「かっちゃーーん! おめでとう!! 間に合ったぁ!!」
「爆豪ぉ! 抜け駆けは許さねぇぞ!」
「漢すぎるぜ爆豪ぉぉぉ」
静かだったチャペルの外が、聞き慣れた声で一気に騒がしくなる。真っ先に駆けてきたのは緑谷君だった。
「ごめん、遅くなって……でも間に合ってよかった!」
その後ろで、上鳴君が大げさに手を振り、切島君が笑いながら親指を立てる。そして最後に現れたのは…。
「……悪い、遅くなった」
ヒーロースーツのまま、涼しい顔で立っていた焦凍だった。その様子に勝己の額に青筋が浮かんでいる。