第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「お前ら無駄に雰囲気出してんじゃねぇ、出禁にすっぞ」
「悪い。爆豪、ここは俺の家だ」
「知っとるわ!テメェこそ、人の女、たぶらかしてんじゃねぇ」
「悪い。そんなつもりはなかった」
「それ無自覚でやっとんなら、お前もマジでやべぇな」
「そうか?よく分かんねぇけど」
「一生分からんでいい。…ンで、凪の気は済んだか?」
「うん。ありがとう。荷物も自分の鞄に入れたから」
勝己は何も言わず、背を向ける。
「じゃあ帰るンぞ」
私はその後ろ姿を見つめ、心の中で小さく安心していた。ぶっきらぼうだけど、私と焦凍の話が終わるまで、勝己はじっと待っててくれたはずだから。
「……うん」
先に玄関へと向かった勝己の後をゆっくりと追った。
「轟、凪の荷物は送ってもらっていいか?この後、寄るとこあっから」
「分かった。凪のアパートでいいか?」
「いや、俺のマンションでいい。住所はあとで送る」
「……そうか」
声を落とした焦凍の表情が少しだけ寂しそうに見えて、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
「轟…」
「なんだ?」
「………凪が世話ンなった」
「いや、俺は何もしてねぇ。実際は何もしてやれてねぇから」
「テメェのそういうとこが、マジでムカつくな」
「焦凍…、……ごめんね…。……本当はありがとうって言いたいのに、やっぱりごめんねって言葉が出ちゃうな」
「謝らなくていい。凪の気持ちは分かってる」
「うん…。でも、本当にありがとう」
「ああ…。それだけで俺は十分だ」
感情を抑える焦凍の声に、胸の奥の息が詰まる。笑って終わらせたいのに、焦凍の顔を見れば涙がこぼれそうだった。だけど、勝己はかすかに震える肩をしっかりと抱きしめてくれている。