第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 夢主side
あれから1ヶ月半が経った。年も明けて、入院した頃はクリスマスカラーに染まっていた街も、すっかり季節が移り変わっている。今はバレンタインを彩るハートやチョコレートのポップが鮮やかだった。勝己と二人、病院の裏口にあるベンチに並んで腰掛け、街の様子をぼんやりと眺めていた。冷たい空気の中でも、隣の体温は近く感じる。
「遅せぇな、轟の奴」
「さっき出たって連絡があったから、もう来るんじゃない?」
「んで、凪に連絡すんだよ」
「だって勝己はちゃんと返信しないでしょ?」
「しとるわ!既読がつきゃ分かンだろが」
「それ、返信とは言わないからね」
勝己の乾いた舌打ちが空に消えていく。白い雲がゆっくりと流れていくのを目を細めながら見ていた。遠くで聞き慣れた車のエンジン音が聞こえて、段々と近づいてくる。思わず顔を上げて、音の方を見つめた。
程なくして焦凍のSUVが目の前に停まった。すぐに運転席のドアを開けると、焦凍は足早に降りてくる。
「悪い、待たせた」
「遅ぇ。……真冬に、待たせンじゃねぇ」
勝己はむすっとしたまま、ぶっきらぼうに言い放つ。
「そんな言い方ないでしょ?焦凍だって、忙しいところをわざわざ迎えに来てくれたのに」
「時間厳守しろや」
「悪かった。で?爆豪の荷物は?」
「ねぇ。病院から直接送った」
「そうか。じゃあ一旦俺の家に寄ればいいんだな?」
「うん」
今日、焦凍に迎えに来てもらったのは、彼の家に置きっぱなしにしていた私の荷物を取りに行くためでもある。
焦凍と一緒に過ごした数ヶ月で、私物も少しずつ増えていた。それだけの時間を、あの場所で私は確かに過ごしていた。窓から流れていく景色は、その時間が随分前のことのように思える。